ドローン国家資格「二等無人航空機操縦士」とは?取得可能な教習所や免許制度を解説
・「ドローン国家資格の2等ってどんな資格なのかな…」
・ 「ドローン国家資格の2等ってどうやって取得するのかな…」
この記事を読まれている方はこのような疑問を抱えているのではないでしょうか。
そこで、本記事ではドローン国家資格である「二等無人航空機操縦士」をはじめとするドローン国家資格に関する概要(基礎知識)や民間資格との違いについて解説します。
次に、「二等無人航空機操縦士」を取得するメリット・デメリットをはじめ、ドローン国家資格の取得方法とその費用についても解説。
本記事を読み終える頃にはドローン国家資格である「二等無人航空機操縦士」の概要や取得方法まで理解できるでしょう。
ぜひ最後までご覧ください。
無人航空機操縦者技能証明とは?
無人航空機操縦者技能証明とは、無人航空機(ドローン・ヘリコプター・飛行機など)の飛行にあたって必要な知識や能力を有することを証明する資格制度のことを指しています。
航空法に該当する機体や飛行方法で無人航空機を利用する場合は、必ずこの資格制度における2種類の資格(一等/二等無人航空機操縦士)のうちいずれかを取得する必要があります。
ドローンの資格取得方法を知りたい方はこちらをご覧ください。
限定変更とは?
限定変更とは、航空法に基づき以下のような項目の上限や規制をより柔軟なものにすることを指しています。
限定変更の対象となる項目 | 変更前 | 変更後 |
---|---|---|
最大離陸重量(機体の重さ) | 25kg未満 | 25kg以上 |
飛行時間 | 昼間のみ飛行可能 | 昼夜飛行可能 |
飛行範囲 | 目視内飛行(目の届く範囲) | 目視外飛行(目の届かない範囲) |
異なる無人機の追加 | ドローン | ドローン&ヘリコプター |
変更前は、限定変更をしていない状態の飛行ルールです。
夜間飛行や目視外飛行などより柔軟に無人航空機(ドローンなど)を飛ばしたい方はぜひ限定変更をおすすめします。
ドローン国家資格は2種類ある
先述のように無人航空機操縦者技能証明には、以下の2種類の資格があります。
- 一等無人航空機操縦士
- 二等無人航空機操縦士
ここでは上記2種類の資格に関する概要について解説します。これら2種類の資格には大きさ違いがあるため必ず目を通しておきましょう。
ドローン国家資格「一等無人航空機操縦士」とは
「一等無人航空機操縦士」とは、無人航空機に飛行に必要な知識を能力を有することを証明する資格の1つです。
この資格の特徴は、立入管理措置※を行わずとも無人航空機を飛行することができる点にあります。
※立入管理措置とは、無人航空機の飛行経路下への第三者の立ち入りを制限することを指しています。なお、無人航空機の飛行経路下に立ち入りできる人は、無人航空機の操縦士とその補助者のみです。
また、「一等無人航空機操縦士」は有人地帯で目次外飛行(飛行レベル4)ができる点も特徴的です。
飛行レベル | 概要 | 飛行可能対象者 |
---|---|---|
飛行レベル1 | 目視内での操縦飛行(マニュアル操作) | ・民間資格 ・国家資格 |
飛行レベル2 | 目視内での自動・自律飛行(オートパイロット) | ・民間資格 ・国家資格 |
飛行レベル3 | 無人地帯での目視外飛行(立入管理措置が必要) | ・民間資格 ・国家資格 |
飛行レベル3.5※ | 無人地帯での目視外飛行(立入管理措置が不要) | ・民間資格 ・国家資格 |
飛行レベル4 | 有人地帯(第三者上空)での目視外飛行(立入管理措置が不要) | 一等無人航空機操縦士のみ(国家資格) |
ドローン国家資格「二等無人航空機操縦士」とは
「二等無人航空機操縦士」とは、無人航空機に飛行に必要な知識を能力を有することを証明する資格の1つです。
この資格は「一等無人航空機操縦士」と違い、立入管理措置を実施した上で無人航空機を飛行する必要があるほか、有人地帯で飛行することはできません。
とはいえ、「二等無人航空機操縦士」以上の資格を所持していると、国土交通省への飛行申請を免除/一部簡略化できるようになるなど両資格における共通のメリットもあります。
ドローンの国家資格と民間資格の違い
ドローンには国家資格と民間資格が2つに分類することができます。
以下の表は、国家資格と民間資格において対応可能な飛行レベルと飛行許可の申請の有無を資格別にまとめたものです。
国土交通省へ申請が必要な飛行 | レベル1 | レベル2 | レベル3 | レベル3.5 | レベル4 |
---|---|---|---|---|---|
民間資格 | 飛行:○ 申請:必要 | 飛行:○ 申請:必要 | 飛行:○ 申請:必要 | 飛行:○ 申請:必要 | 飛行不可 |
国家資格(二等) | 飛行:○ 申請:不要 | 飛行:○ 申請:不要 | 飛行:○ 申請:不要 | 飛行:○ 申請:不要 | 飛行不可 |
国家資格(一等) | 飛行:○ 申請:不要 | 飛行:○ 申請:不要 | 飛行:○ 申請:不要 | 飛行:○ 申請:不要 | 飛行:○ 申請:必要 |
国家資格と民間資格の最大の違いは、飛行レベル4で飛行できるか否かという点です。※
※「二等無人航空機操縦士」は、国家資格ではあるが飛行レベル4で飛行することができません。
言い換えると、有人地帯でかつ目視外飛行ができるか否かという違いがあります。国家資格は飛行レベル4に対応している一方、民間資格は飛行レベル4に対応していません。
また、国土交通省へ飛行申請を出す必要性に関しても国家資格と民間資格の間で違いがあり、民間資格は必ず飛行許可の申請をする必要がある一方、国家資格は飛行レベル4を除いて飛行許可の申請は不要となります。
「二等無人航空機操縦士」を取得するメリット2つ
ここでは、「二等無人航空機操縦士」を取得するメリットについて解説します。
以下2点は、「二等無人航空機操縦士」を取得するメリットです。
- 飛行許可の申請を免除/一部省略できて手間が省ける
- 取引先からの信頼度が向上し、仕事の機会が増える
飛行許可の申請を免除/一部省略できて手間が省ける
国家資格である「二等無人航空機操縦士」は、飛行レベル3.5までであればいずれの飛行レベルであっても飛行許可の申請を免除することができます。
「二等無人航空機操縦士」は、飛行レベル4での飛行には対応しておらず、飛行レベル4に対応している「一等無人航空機操縦士」であっても申請免除できる範囲は二等と同様です。
取引先からの信頼度が向上し、仕事の機会が増える
国家資格を所持していると取引先からの信頼度が向上し、仕事の機会が増える可能性があります。
国家資格は民間資格に比べて知識や能力において高い基準を設けているため、民間資格が見劣りしてしまうことは必然です。
法律面は司法書士ではなく弁護士に相談/依頼することと同様に、ドローンにおける業務依頼も民間資格ではなく対応範囲が広く技能が保証された国家資格の所持者に依頼の比重が傾くでしょう。
「二等無人航空機操縦士」を取得するデメリット2つ
ここでは、「二等無人航空機操縦士」のデメリットについて解説します。
以下は2点は、「二等無人航空機操縦士」のデメリットです。
- 一等無人航空機操縦士を取得するときに試験免除など優遇が無い
- 飛行レベル4に対応していないため、飛行範囲や条件に制限がかかる
一等無人航空機操縦士を取得するときに試験免除など優遇が無い
無人航空機の資格制度において「二等無人航空機操縦士」を所持しているからといって「一等無人航空機操縦士」を取得するにあたって試験等の一部免除などこれといった優遇はありません。
国家資格を取得しようとしている方は、取得しようとしている国家資格が検討している用途に対応できるか否か今一度振り返ってみましょう。
飛行レベル4に対応していないため、飛行範囲や条件に制限がかかる
「二等無人航空機操縦士」は飛行レベル4に対応していません。そのため、有人地帯での飛行が不可能です。
国土交通省へ申請が必要な飛行 | レベル1 | レベル2 | レベル3 | レベル3.5 | レベル4 |
---|---|---|---|---|---|
民間資格 | 飛行:○ 申請:必要 | 飛行:○ 申請:必要 | 飛行:○ 申請:必要 | 飛行:○ 申請:必要 | 飛行不可 |
国家資格(二等) | 飛行:○ 申請:不要 | 飛行:○ 申請:不要 | 飛行:○ 申請:不要 | 飛行:○ 申請:不要 | 飛行不可 |
国家資格(一等) | 飛行:○ 申請:不要 | 飛行:○ 申請:不要 | 飛行:○ 申請:不要 | 飛行:○ 申請:不要 | 飛行:○ 申請:必要 |
有人地帯でドローンを利用したい方であれば、「二等無人航空機操縦士」ではのちのち不満が募ってくるでしょう。
飛行レベル | 概要 | 飛行可能対象者 |
---|---|---|
飛行レベル1 | 目視内での操縦飛行(マニュアル操作) | ・民間資格 ・国家資格 |
飛行レベル2 | 目視内での自動・自律飛行(オートパイロット) | ・民間資格 ・国家資格 |
飛行レベル3 | 無人地帯での目視外飛行(立入管理措置が必要) | ・民間資格 ・国家資格 |
飛行レベル3.5※ | 無人地帯での目視外飛行(立入管理措置が不要) | ・民間資格 ・国家資格 |
飛行レベル4 | 有人地帯(第三者上空)での目視外飛行(立入管理措置が不要) | 一等無人航空機操縦士のみ(国家資格) |
ドローンの国家資格はどれがいいのか用途別に解説
ドローンの国家資格の選び方で迷っている方もいるかもしれません。
「一等無人航空機操縦士」を取得をおすすめしたい方の特徴ですが、有人地帯でドローンを利用したい方などいずれの制限も開放したいという方は迷わず「一等無人航空機操縦士」を取得しましょう。
また、「二等無人航空機操縦士」は飛行レベル4まで解放しなくても十分に目的を果たせるという方におすすめします。
資格の種類 | オススメな人の特徴 |
---|---|
「一等無人航空機操縦士」 | ・有人地帯でドローンを利用したい ・幅広い用途を検討している |
「二等無人航空機操縦士」 | ・有人地帯での飛行が必要にならない ・飛行レベル3.5までで利用目的に対応できる |
「二等無人航空機操縦士」のデメリットについて解説した際にも述べましたが、取得しようとしている国家資格が検討している用途に対応できるかきちんと把握しておくことが大切です。
ドローン国家資格(一等・二等)の取り方
ここでは、ドローン国家資格である「一等/二等無人航空機操縦士」の取り方について解説します。
登録講習機関(ドローンスクール)に通って取得する方法と独学で学びそのまま試験を受ける方法(一発試験)についてみていきましょう。
ドローン国家資格の取り方の流れ
手順 | 登録講習機関に通う場合 | 一発試験の場合 |
---|---|---|
STEP1 | 登録講習機関へ通い、座学・実技を学習し、修了試験を受ける※ | 登録講習機関へは通わず、独学で試験の準備をする |
STEP2 | 試験を受ける | 試験を受ける |
STEP3 | 試験合格証明書と技能証明の発行 | 試験合格証明書と技能証明の発行 |
ドローン国家資格「一等/二等無人航空機操縦士」の取り方
ここでは、「一等/二等無人航空機操縦士」の取り方について登録講習機関に通うパターンとそうでないパターンを解説します。
登録講習機関(ドローンスクール)に通って取得する場合
「一等/二等無人航空機操縦士」の資格を取得するには、認定されたドローンスクールで学科講習・実技講習・修了審査を受ける必要があります。
講習は学科と実技のみの機関もあるため、適したスクールを選びましょう。修了審査に合格すれば実地試験免除となりますが、難易度は同等です。
その後、学科試験と身体検査に合格し、技能証明の発行申請をすることで資格取得が可能です。学科試験と身体検査はいつでも受験でき、事前にこれらを済ませておくこともできます。
登録講習機関(ドローンスクール)に通わずに取得する場合(一発試験)
「一等/二等無人航空機操縦士」の資格を独学で取得しようとする場合、実地試験の受験が必須です。
受験には、DJI Phantom4 Pro+ V.2.0やMavic2などの特定スペックを持つ機体の準備と、試験内容に即した飛行練習が求められます。
実地試験の内容は国土交通省のWEBサイトで確認可能ですが、自力での試験対策には限界があるため、他の受験者と共同で練習するなど工夫が必要です。
実地試験の予約は指定試験機関のWEBサイトから行い、希望日時に予約できないこともあるため、早めの予約が推奨されます。
ドローン国家資格の取得難易度は?
ここでは、ドローン国家資格である「一等/二等無人航空機操縦士」の取得難易度について学科試験の内容をはじめ、試験合格率や試験日について解説します。
ドローン国家資格「一等・二等無人航空機操縦士」の学科試験
「一等無人航空機操縦士」と「二等無人航空機操縦士」の学科試験は、以下のような違いが見られます。
学科試験の内容 | 一等無人航空機操縦士 | 二等無人航空機操縦士 |
---|---|---|
問題数 | 70問 | 50問 |
試験時間 | 75分 | 30分 |
飛行原理と飛行性能 | ・無人航空機の飛行原理 ・揚力発生の特徴 ・無人航空機の飛行性能 ・無人航空機へのペイロード搭載 ・飛行性能の基本的な計算 | ・無人航空機の飛行原理 ・揚力発生の特徴 ・無人航空機へのペイロード搭載 |
運航上のリスク管理 | ・安全に配慮した飛行 ・飛行計画 ・経路設定 ・無人航空機の運航におけるハザードとリスク ・無人航空機の運航リスクの評価 ・カテゴリーⅢ飛行におけるリスク評価 | ・安全に配慮した飛行 ・飛行計画 ・経路設定 ・無人航空機の運航におけるハザードとリスク ・無人航空機の運航リスクの評価 |
合格基準 | 正答率90% | 正答率80% |
ドローン国家資格「一等・二等無人航空機操縦士」の試験合格率
ドローン国家資格の合格率について詳細を述べることはできませんが、70-80%の受験者が合格しているとされています。
いずれにしても「一等無人航空機操縦士」と「二等無人航空機操縦士」では合格基準が異なるため、正答率90%以上が合格基準である「一等無人航空機操縦士」の試験合格率は70-80%を下回る可能性もあるでしょう。
ドローン国家資格「一等・二等無人航空機操縦士」の試験日
詳細を確認したい方は公式サイトをご確認ください。
公式サイトはこちら
ドローン国家資格「一等・二等無人航空機操縦士」の取得費用
ドローン国家資格を取得するには、以下の費用がかかります。
- 登録講習機関の受講料
- 試験の受験費用
- 免許の申請費用と更新費用
登録講習機関の受講料
資格レベル | 資格所持者にかかる費用 | 初学者にかかる費用 |
---|---|---|
一等無人航空機操縦士 | 約28万円 | 約110万円 |
二等無人航空機操縦士 | 約12万円 | 約30万円 |
試験の受験費用
種別 | 資格レベル・受験方法 | 費用 |
---|---|---|
学科試験 | 一等 | 9,900円 |
二等 | 8,800円 | |
実地試験(マルチローター)※ | 一等 | 22,200円 |
一等 (限定変更) | 20,800円 | |
二等 | 20,400円 | |
二等 (限定変更) | 19,800円 | |
身体検査 | 書類での受験 | 5,200円 |
会場での受験 | 19,900円 |
免許の申請費用と更新費用
申請内容 | 費用 |
---|---|
新規申請 | 3,000円 |
再交付申請 更新申請 限定変更申請 | 2,850円 |
登録免許税(一等のみ) | 3,000円 |
まとめ
本記事では、「二等無人航空機操縦士」に限らず、ドローン国家資格の概要について解説してきました。
他にも、民間資格ではなく国家資格を取得するメリット・デメリットをはじめ、資格の取得方法についても解説しており、本記事を余さず読んでいただけた方ならドローン国家資格における基礎知識を網羅できたことでしょう。
ドローン国家資格を取得する上で2パターンの取得方法をご紹介しましたが、基本的には登録講習機関に通って取得する方法が一般的です。
登録講習機関について気になる方はこちらを参考にしてみてください。