ドローンの夜間飛行時の注意点9選!必要な資格や許可の有無、撮影時の注意点を解説

  • 「ドローンを夜間に飛ばしたいけど勝手に飛ばしても良いのかな…」
  • 「ドローンを夜間に飛ばしたいけど知っておくべき注意点はあるのかな…」
  • 「そもそもドローンを操縦するのに資格とか必要なんだろうか…」

本記事を読まれている方は、このような悩みをかかえているのではないでしょうか。

本記事では、ドローンの夜間飛行時における注意点やドローンの操縦に資格が必要か否か、そして自治体など所定の団体等に許可を取る必要性について解説します。

本記事を読み終える頃には、ドローンを夜間で飛ばすために十分な知識を得て正しくドローンの夜間飛行に臨めるでしょう。

ぜひ最後までご覧ください。

夜間にドローンを飛ばす上で必要な資格

ここでは、ドローンを夜間に飛ばす上で必要となる以下2種類の資格について解説します。


  • 国家資格
  • 民間資格

ドローンの資格は豊富に存在しているため、はじめに国家資格・民間資格における概要を把握しておくと良いでしょう。

ドローン操縦に関して詳しく知りたい方は国土交通省の情報をもとに作成したこちらの記事をご覧ください

国家資格

国家資格は、「一等操縦ライセンス」(一等無人航空機操縦士)「二等操縦ライセンス」(二等無人航航空機操縦士)の2種類です。資格の取得方法は、指定試験機関に試験を受けに行くか登録講習機関で講習を受けてから試験を受けて資格を取得する2パターンになります。

国家資格の最大の特徴は、ドローンを飛行レベル4まで飛ばすことができる点です。これまで有人地帯でドローンを飛ばすことはできませんでした。

飛行レベル概要飛行可能対象者
飛行レベル1目視内での操縦飛行(マニュアル操作)・民間資格
・国家資格
飛行レベル2目視内での自動・自律飛行(オートパイロット)・民間資格
・国家資格
飛行レベル3無人地帯での目視外飛行(立入管理措置が必要)・民間資格
・国家資格
飛行レベル3.5※無人地帯での目視外飛行(立入管理措置が不要)・民間資格
・国家資格
飛行レベル4有人地帯(第三者上空)での目視外飛行(立入管理措置が不要)一等無人航空機操縦士のみ(国家資格)
※立入管理措置とは、無人航空機の飛行経路下において、第三者(無人航空機を飛行させる者及びこれを補助する者以外の者)の立入りを制限することを指します。補助者、看板、道路横断前に一時停止をして歩行者等の有無を確認する必要があります。

しかし、国家資格の「一等操縦ライセンス」の所持者に限り以下4つの要件を満たせばレベル4の飛行場所で飛ばすことができます

民間資格

民間資格は、登録講習機関(ドローンスクール)で取得することができるドローンの免許です。各スクールによって取得できる認定資格が異なる場合があります。以下の表は各ドローンスクールで獲得できる認定資格の一覧です。

登録講習機関名取得できる認定資格
一般社団法人日本UAS産業振興協議会(JUIDA)・無人航空機操縦技能証明証
・安全運航管理者証明証
・無人航空機安全運航管理者証明証
一般社団法人 日本ドローン協会(DJA)・UAV 3級操縦士技能証明(国交省認定資格)
・UAV 2級操縦士技能証明(国交省認定資格)
・UAV 1級操縦士技能証明(国交省認定資格)
・JDAインストラクター証明(JDA認定資格)
DJI CAMPスペシャリストDJI CAMP認定資格
(DJI公認ドローン保険が割引き待遇有)
一般社団法人国際無人航空機協議会(IAU)・無人航空機操縦技能認証
・無人航空機安全運航管理責任者認証

また、民間資格は飛行レベル3.5までの飛行が可能で、国家資格を保有していなくても従来の航空法に基づいてドローンを飛ばすことができます。飛行時は国土交通省から飛行許可を得る必要があるため無断で飛ばさないようにしましょう。

飛行レベルは以下の5つに分かれており、各レベルに飛行条件が設けられています。

飛行レベル概要飛行可能対象者
飛行レベル1目視内での操縦飛行(マニュアル操作)・民間資格
・国家資格
飛行レベル2目視内での自動・自律飛行(オートパイロット)・民間資格
・国家資格
飛行レベル3無人地帯での目視外飛行(立入管理措置が必要)・民間資格
・国家資格
飛行レベル3.5※無人地帯での目視外飛行(立入管理措置が不要)・民間資格
・国家資格
飛行レベル4有人地帯(第三者上空)での目視外飛行(立入管理措置が不要)一等無人航空機操縦士のみ(国家資格)
※立入管理措置とは、無人航空機の飛行経路下において、第三者(無人航空機を飛行させる者及びこれを補助する者以外の者)の立入りを制限することを指します。補助者、看板、道路横断前に一時停止をして歩行者等の有無を確認する必要があります。

ドローンの夜間飛行時の注意点9選

ここでは、ドローンの夜間飛行時の注意点を9つ解説します。

いずれのドローンの夜間飛行時に重要な内容であるため、思わぬ規則違反で周囲に迷惑をかけないように必ず目を通しておきましょう。


  • 飛行前に国土交通省への許可申請が必要
  • 視認性を高めるための地上照明を活用する(目視内)
  • 飛行高度と同じ距離の半径の範囲内に第三者が存在しない
  • 夜間飛行の訓練を修了している
  • 人または家屋が密集している地域の上空は飛行禁止
  • ドローンの特性を理解した補助者を配置する
  • 明るい内に飛行場所の下調べを行う
  • 日の出入り時間を確認する
  • ドローン本体にライトをつける(周囲に明かりがない場合に限る)

飛行前に国土交通省への許可申請が必要

夜間のドローン飛行は航空法で規制されているため、事前に国土交通省へ許可申請を行う必要があります。

申請時には一定の飛行時間の証明が求められ、ドローンスクールの訓練修了者はライセンスカードで証明できますが、独学の場合は証明が困難です。

国土交通省から申請が認められれば、一定の条件下で夜間飛行が許可されます。

視認性を高めるための地上照明を活用する(目視内)

夜間は視認性が低下するため、ドローンの離着陸地点周辺に照明を設置し、飛行エリアを明るく照らす必要があります。

車のヘッドライトや撮影用照明機材などを使用し、ドローンが目視内で確認できるよう照明を当てます。これにより、安全な夜間飛行ができます。

飛行高度と同じ距離の半径の範囲内に第三者がいないことを確認する

夜間飛行では、ドローンの飛行高度と同じ距離の半径内に第三者がいないことを確認してください。

例えば高度50mで飛行する場合は、半径50m以内に第三者がいてはなりません。この規定に違反すると大変危険です。

夜間飛行の訓練を修了している

夜間は視認性が低下するため、特別な技量が必要となります。

そのため、夜間飛行を行う操縦者は、事前に夜間飛行の訓練を修了している必要があります。訓練を受けていない操縦者は、夜間飛行を行ってはいけません。

夜間飛行に必要な資格

夜間飛行を行う際は、国家資格・民間資格など一般的な資格に限定変更(限定解除)を行う必要があります。

限定変更の対象となる項目変更前変更後
最大離陸重量(機体の重さ)25kg未満25kg以上
飛行時間昼間のみ飛行可能昼夜飛行可能
飛行範囲目視内飛行(目の届く範囲)目視外飛行(目の届かない範囲)
異なる無人機の追加ドローンドローン&ヘリコプター

人または家屋が密集している地域の上空は飛行禁止

人や家屋が密集する住宅地など、第三者が多数存在する地域の上空では、夜間飛行を行うことは禁止されています。

無人航空機(ドローン)の飛行禁止エリア

航空法に基づき以下の場所でドローンを飛行することは禁止されています。


  • 150m以上の高さの上空
  • 人口集中地区(DID地区)
  • 空港周辺
  • 国の重要施設(国会議事堂、首相官邸、危機管理行政機関、最高裁判所庁舎、皇居・御所、政党事務所)の周辺300mエリア
  • 外国公館の周辺300mエリア
  • 防衛関係施設の周辺300mエリア
  • 新千歳空港、成田国際空港、東京国際空港、中部国際空港、関西国際空港、大阪国際空港、福岡空港、那覇空港)の周辺300mエリア
  • 原子力事業所の周辺300mエリア
  • 第三者の私有地
  • 条例や管理者がドローンを禁止している公園
  • 管理者がドローンを禁止している川、海岸
  • その他、各都道府県・市区町村が条例などでドローンを禁止している場所

上記のように、航空機の航行の安全に影響を及ぼす可能性があったり、落下した場合に地上の人などに危険が伴うような高い空域が対象となっています。

ドローンの特性を理解した補助者を配置する

夜間飛行時には、ドローンの特性を十分理解した補助者を配置する必要があります。

補助者は周囲の安全確認を行い、緊急時には操縦者に助言して飛行を中止させる役割を担います。

明るい内に飛行場所の下調べを行う

夜間飛行に先立ち、日中に飛行場所の下調べを行わなければなりません。

第三者の存在や障害物の有無を確認し、安全な飛行が可能か事前に検討しておく必要があります。

日の出入り時間を確認する

夜間飛行では、日の出入り時間を確認し、十分な明るさがある時間帯のみに飛行を行います。

日の出前や日没後は視認性が極端に低下するため、飛行は避ける必要があります。

ドローン本体にライトをつける(周囲に明かりがない場合に限る)

夜間飛行時に周囲に照明がない場合は、ドローン本体にライトを装着します。

これにより操縦者がドローンの位置や向きを確認できるようになります。

しかし、ライトがあってもドローンの視認性は日中に比べて低下するため、注意が必要です。

夜間飛行時に装着させる3色のライト(灯火)

夜間飛行を行う際に、ドローン本体に正確な姿勢と方向が視認できる灯火装備が必須です。

具体的には、以下の3色のライトをドローンに装着する必要があります。

ライトの色概要
赤色灯ドローンの尾部に取り付け、ドローンの進行方向を示します。
緑色灯ドローンの右側に取り付け、ドローンの右側を示します。
白色灯ドローンの機首部分や前方に取り付け、ドローンの進行方向を示します。

夜間飛行の申請方法

ここでは、夜間飛行の申請方法について解説します。申請方法は以下の2パターンです。


  • 個別申請
  • 包括申請

個別申請

個別申請は、一回の飛行ごとに申請を行う方法です。申請書には以下の項目を記入する必要があります。

  • 飛行日時
  • 飛行場所
  • 夜間飛行エリアの策定
  • 補助員の配置図
  • 安全対策の要件

包括申請

申請から許可までに一定の審査期間を要するため、フライト日の10日前を目安に余裕を持って申請を行いましょう。なお、申請時はオンラインをお勧めします。

未申請時の夜間飛行の罰則

未申請のまま夜間にドローンを飛行させた場合、航空法第157条第4号により、50万円以下の罰則が科される可能性があります。

また、申請内容に虚偽の記載があった場合も、同様に処罰の対象となるため注意が必要です。

ドローンの夜間飛行における活用事例

ここでは、ドローンの夜間飛行における活用事例をご紹介します。

以下は主な夜間にドローンを飛行するときの例です。


  • 夜景
  • 花火
  • イベント

夜景

夜景では、以下のように観光名所や綺麗な街並みの撮影で使用されることが一般的です。

  • 東京スカイツリーや神戸の摩耶山など、全国の美しい夜景スポットを空撮
  • スマホや一眼レフでは難しい、ダイナミックな夜景の映像や写真の撮影
  • きらびやかな街の明かり、ネオン看板、車のヘッドライトなど、人々の生活の光景を上空から撮影

花火

以下のように花火大会など、大規模な祭りやイベントがあるときに使用されることがあります。

  • 夏の風物詩である花火大会の様子を、地上とは違う視点からの空撮
  • 場所取りの必要がなく、花火に近い目線で迫力ある映像の撮影
  • 一瞬で消える花火の美しい瞬間を、上空からの視点で撮影

イベント

ドローンは、以下のようにイルミネーションや音楽ライブなど様々なイベントで汎用的に使用されています。

  • イルミネーションやライトアップされた夜桜など、夜間のイベントを上空から撮影
  • 地上から見る景色とは異なる独特の雰囲気や景観の空撮
  • 音楽イベントやドローンを使用したプロジェクションマッピング

まとめ

本記事では、夜間にドローンを飛行する際の注意点や必要な資格について解説しました。

ドローンの操縦をする際には、周りへの二次被害を減らすために法律で厳しく管理されています。夜間に飛行する際は必ず国土交通省に許可を取るようにしましょう。