建設業でドローンを活用方法を紹介!導入事例や注意点、おすすめの機体をご紹介

  • 「建設業でドローンを使うとなると、どんなことができるんだろう…」
  • 「建設業にドローンを活用した実際の事例はどんなものがあるんだろう…」

本記事を読まれている方はこのような疑問を抱えているのではないでしょうか。

本記事では、建設業におけるドローンの活用方法や活用事例、そして建設業にドローンを活用するために必要な資格について解説します。

本記事を読み終える頃には、ドローンが建設業においてどのような役割を担うことができるのか理解することが可能となります。

ぜひ最後までご覧ください。

建設業におけるドローンの活用方法3選

ここでは、建設業におけるドローンの活用方法について解説します。

以下3点は建設業におけるドローンの代表的な活用方法です。


  • 点検・メンテナンス
  • 測量
  • 施工管理(定点観測)

点検・メンテナンス

ドローンは設備やインフラの点検にも活用されており、様々な技術を駆使しています。

具体的には、内蔵または取り付けられたカメラを使用しての目視点検、遠赤外線カメラによる危険箇所の確認、そしてマッピング技術を利用した立体的な解析が含まれます。

これらの方法により、屋根、太陽光パネル、ビル、橋梁など、従来人手での点検が困難または危険な場所の検査が可能です。点検業務は、測量業務と同じく、公共機関と民間企業からの依頼が主流となります。

測量

ドローンによる測量は、地形、建築物の位置や状況を把握するために、写真測量やレーザー測量の技術を用いた測量方法です。

ドローンに装備されたレーザーやカメラを活用して、地上の距離や位置を正確に測定します。従来の測量方法には、徒歩での測量や飛行機を使用した空中測量がありましたが、これらは多大な手間と人員を必要とする課題がありました。

しかし、ドローンを使用することで、これらの作業をより効率的に行うことが可能になります。ドローン測量の業務を行うには測量士や測量士補の国家資格が求められ、仕事は公共機関や民間企業からの依頼が主流です。

施工管理(定点観測)

ドローンによる施工、定点観測は従来の方法と比べ、コスト削減や撮影の自由度向上、一貫性のあるデータ収集、安全性の向上など、多くの利点があります。

現場の環境に応じて適切なドローンを選択することが重要です。一般的な環境ではMavicシリーズがおすすめです。

清水建設株式会社の事例のように、大規模土木工事での導入により、現場全体の状況把握や進捗確認が効率化されています。

ドローンによる定点観測は、現場全体の状況把握や進捗確認の効率化など建設プロジェクトの管理効率に大きく貢献しており、迅速な意思決定を支援する重要なツールとなっています。

国土交通省が建設業にドローンを導入を推奨する業務

国土交通省は建設業におけるドローンの活用を推進しており、具体的な事例として施工管理や点検業務などがあります。

施工管理では、出来高・出来形管理や巡視にドローンを活用し、工事の進捗状況絵を効率的に把握しています。

点検業務では、橋梁の定期点検にドローンを使用することで橋梁点検車の利用が不要となり、通行規制の必要がなくなるため、道路利用者の利便性向上や点検コストの削減に寄与しています。

また、港湾施設の維持管理においても、ドローンとAIを活用した点検診断システムを開発し、作業時間の大幅な削減を目指しています。これらの取り組みにより、建設現場の生産性向上、安全性の向上、コスト削減が実現されています。

建設業でドローンを活用するために必要な資格

ここでは、建設業でドローンを活用するために必要な資格を解説します。ドローンを操縦するにあたって資格がなければ操縦できないケースが法律で定められています。

自身で操縦しようと検討していた方ははじめに資格を取得するようにしましょう。

民間資格

民間資格とは、登録講習機関(ドローンスクール)で取得することができるドローンなど無人航空機を操縦することができる資格です。

以下の表のように、各スクールによって取得できる認定資格が異なる場合があります。

登録講習機関名取得できる認定資格
一般社団法人日本UAS産業振興協議会(JUIDA)・無人航空機操縦技能証明証
・安全運航管理者証明証
・無人航空機安全運航管理者証明証
一般社団法人 日本ドローン協会(DJA)・UAV 3級操縦士技能証明(国交省認定資格)
・UAV 2級操縦士技能証明(国交省認定資格)
・UAV 1級操縦士技能証明(国交省認定資格)
・JDAインストラクター証明(JDA認定資格)
DJI CAMPスペシャリストDJI CAMP認定資格
(DJI公認ドローン保険が割引き待遇有)
一般社団法人国際無人航空機協議会(IAU)・無人航空機操縦技能認証
・無人航空機安全運航管理責任者認証

また、民間資格は飛行レベル3.5までの飛行が可能で、国家資格を保有していなくても従来の航空法に基づいてドローンを飛ばすことができます。飛行時は国土交通省から飛行許可を得る必要があるため無断で飛ばさないようにしましょう。

飛行レベルは以下の5つに分かれており、各レベルに飛行条件が設けられています。

以下のURLは、国土交通省が提供している飛行レベルに関する情報です。

参考URLはこちら

飛行レベル概要飛行可能対象者
飛行レベル1目視内での操縦飛行(マニュアル操作)・民間資格
・国家資格
飛行レベル2目視内での自動・自律飛行(オートパイロット)・民間資格
・国家資格
飛行レベル3無人地帯での目視外飛行(立入管理措置が必要)・民間資格
・国家資格
飛行レベル3.5※無人地帯での目視外飛行(立入管理措置が不要)・民間資格
・国家資格
飛行レベル4有人地帯(第三者上空)での目視外飛行(立入管理措置が不要)一等無人航空機操縦士のみ(国家資格)
※立入管理措置とは、無人航空機の飛行経路下において、第三者(無人航空機を飛行させる者及びこれを補助する者以外の者)の立入りを制限することを指します。補助者、看板、道路横断前に一時停止をして歩行者等の有無を確認する必要があります。

国家資格

国家資格は、「一等操縦ライセンス」(一等無人航空機操縦士)「二等操縦ライセンス」(二等無人航航空機操縦士)の2種類です。

国家資格の最大の特徴は、ドローンを飛行レベル4の飛行エリアまで飛ばすことができる点です。

これまで有人地帯でドローンを飛ばすことはできませんでしたが、国家資格の「一等無人航空機操縦士」の所持者に限り以下4つの要件を満たせばレベル4の飛行場所で飛ばすことができます

以下はその4つの要件を表した表です。

要件概要
機体登録制度・100g以上の機体を飛ばす際は機体登録が必須
・登録後はリモートIDを付ける義務がある
機体認証制度・ドローンの設計や製造、安全基準の検査のために設けられている制度
・「第一種」と「第二種」があり、レベル4飛行には「第一種」の認証が必要
ドローン操縦者のライセンス制度・ドローン飛行に必要な知識・能力があることを証明する制度
・レベル4飛行には「一等無人航空機操縦士」の取得が必須
運航ルール・ドローン飛行に共通した運航ルール
・レベル4飛行では、運航形態に応じた安全対策の実施、飛行マニュアルの作成などが必須

建設業にドローンを導入する際の補助金

以下は建設業にドローンを導入する際の補助金の一覧です。

補助金名補助金上限額(補助率)こんな方におすすめ
小規模事業者持続化補助金200万円以下(2/3)少額のドローンやドローン関連ソフトウェアの購入を検討している
事業再構築補助金8,000万円以下(1/2~2/3)ドローンを活用した新規分野への挑戦や事業再構築を検討している
人材開発支援助成金50万円以下(20%~60%)ドローン人材育成を目的に、ドローンの国家資格取得を検討している

各補助金に関する情報も解説していくため補助金申請を検討している方はぜひご覧ください。

小規模事業者持続化補助金

以下にあてはまる場合、小規模事業者持続化補助金の対象者となります。

  • 資本金または出資金が5億円以上の法人に直接または間接に100%株式保有されていない
  • 直近過去3年分の各年または各事業年度の課税所得の年平均額15億円を超えていない
  • 従業員の人数が下表の範囲内である
業種従業員数
商業・サービス業(宿泊業・娯楽業除く)従業員数が5人以下
宿泊業・娯楽業従業員数が 20 人以下
製造業などその他従業員数が 20 人以下

補助金額は以下のとおりです。

  • 補助金額
    • 50万円~200万円
  • 補助率
    • 2/3~3/4

事業再構築補助金

事業再構築補助金は、ポストコロナ・ウィズコロナ時代の経済社会の変化に対応するために事業再構築を支援する補助金制度です。

以下にあてはまる場合、事業再構築補助金の対象者となります。

  • 「中小企業者等」に含まれる「中小企業者」以外の法人
  • 中堅企業等
  • 下記に当てはまる中小事業者が対象となります。
業種資本金従業員数
製造業、建設業、運輸業、旅行業3 億円300人
卸売業1億円100人
サービス業(ソフトウェア業、情報処理サービス業、旅館業を除く)5,000万円100人
小売業5,000万円50人
ゴム製品製造業(自動車または航空機用タイヤ及びチューブ製造業並びに工場用ベルト製造業を除く)3 億円900人
ソフトウェア業または情報処理サービス業3 億円300人
旅館業5,000万円200人
その他業種(上記以外)3 億円300人

補助金額は以下のとおりです。

  • 補助金額
    • 100万円~1.5億円
  • 補助率
    • 1/2~3/4

人材開発支援助成金

人材開発支援助成金は、企業が従業員の能力向上やスキルアップを目指して実施する人材開発プログラムの支援と称した助成金です。

以下にあてはまる場合、人材開発支援助成金の対象者となります。

  • 法人、個人事業主の従業員(雇用保険の被保険者)
    ※個人や公務員の受講は助成金の対象とはなりません。

補助金額は以下のとおりです。

  • 補助金額
    • 1000万円(1事業所1年度あたり)
    • 10万円~50万円(受講者1人あたり)
  • 補助率
    • 20%~60%

ドローンを工事現場で使用する際は許可が必要

ドローンを第三者の上空で使用することになるため、ドローンを工事現場で使用する際は必ず国土交通省に許可をとる必要があります。

本記事で述べましたが、人の上空や近辺にいる場所でドローンを操縦するには資格が必要となるため、ご自身で操縦することを検討している方ははじめに資格を取るようにしましょう。

ドローンを飛ばす際に許可が必要なケース

  • 人口密集地域(DID地区)
  • 空港周辺
  • 第三者の上空
  • 150メートル以上の上空
  • 道路の上空
  • 夜間飛行
  • 目視外飛行
  • 危険物の輸送
  • 物件投下
  • ドローンの機体が100g以上

建設業に向いているドローンの選び方

ここでは建設業に向いているドローンの選び方を解説します。

以下3点は建設業に向いているドローンの選び方です。


  • 【カメラ性能】高解像度である
  • 【飛行性能】高い操縦技能が不要である
  • 【障害物回避性能】障害物を検知するセンサーの数が複数である

【カメラ性能】高解像度

高解像度のカメラは、建設現場の詳細な点検や測量に不可欠です。

高解像度で撮影することで、微細なクラックや損傷を正確に検出でき、修繕箇所の特定が容易になります。また、鮮明な画像はデータ解析の精度を向上させ、工事の品質管理や進捗確認に役立ちます。

【飛行性能】高い操縦技能が不要

高い飛行性能を持つドローンは、安定した飛行が可能であり、操縦が簡単です。これにより、操縦者の技能に依存せずに安全かつ効率的に作業を行えます。

特に、GPSや自動飛行機能を備えたドローンは、複雑な飛行ルートでも正確に飛行でき、作業の効率化に貢献します。

【障害物回避性能】障害物を検知するセンサーの数が複数

複数の障害物検知センサーを搭載したドローンは、安全性が高く、狭い場所や複雑な環境でも安心して飛行できます。これにより、建設現場での衝突リスクを低減し、機体の損傷を防ぐことができます。

特に、6方向検知システムなどを備えたドローンは全方位の安全を確保し、作業の信頼性を向上させます

建設業におすすめのドローン本体3選

ここでは、建設業におすすめのドローンの機体を3つご紹介します。

以下3点は建設業におすすめのドローンです。


  • DJI Matrice 300 RTK(約1,500,000円)
  • DJI Mavic 3 Enterprise(約774,400円)
  • DJI Phantom 4 RTK(約700,000円)

DJI Matrice 300 RTK(約1,500,000円)


◯おすすめポイント

  1. 高精度なRTK技術搭載
  2. 最大55分の飛行時間
  3. 6方向の障害物検知機能

DJI Matrice 300 RTKは、建設業における測量や点検に最適な高性能産業用ドローンです。

最大55分の飛行時間と6方向の障害物検知機能を備え、安全かつ効率的な作業が可能です。高精度なRTK技術を搭載し、1cmの精度で測位できるため、正確な測量や地形データの収集に優れています。

また、防塵・防水性能(IP45)を持ち、過酷な環境下でも安定した運用が可能です。多様なペイロードに対応し、用途に応じて様々なカメラやセンサーを搭載できる柔軟性も特徴です。

DJI Mavic 3 Enterprise(約774,400円)


◯おすすめポイント

  1. 小型で高機能
  2. 持ち運びが容易
  3. 高解像度カメラ搭載

DJI Mavic 3 Enterpriseは、コンパクトながら高機能な性能を持つドローンで、建設現場での測量や写真撮影に最適です。

小型軽量で持ち運びが容易なため、現場での迅速なデータ収集が可能です。4/3インチCMOSセンサーを搭載した高解像度カメラにより、詳細な画像や動画の撮影ができます。

また、最大46分の飛行時間と全方向障害物検知システムにより、効率的で安全な運用が可能です。RTK測位にも対応し、高精度な測量作業にも活用できます。

DJI Phantom 4 RTK(約700,000円)


◯おすすめポイント

  1. 高精度なRTK技術搭載
  2. 簡単な操作性
  3. コンパクトなデザイン

DJI Phantom 4 RTKは、建設業における測量や地形データの収集に特化したドローンです。

高精度なRTK技術を搭載し、センチメートル単位の測位精度を実現します。操作が簡単で、専門知識がなくても高精度な測量が可能です。20メガピクセルのカメラを搭載し、鮮明な画像撮影ができます。

最大30分の飛行時間と安定した飛行性能により、効率的なデータ収集が可能です。コンパクトなデザインで持ち運びも容易なため、様々な現場での活用に適しています。

まとめ

本記事では建設業におけるドローンの活用方法や実際の活用事例を解説しました。

また、ドローンを活用するにあたって必要な資格や補助金制度についても解説し、導入前に必要な情報を提供させていただきました。

ドローンの機体は様々な種類があるため、本記事でおすすめしたベーシックで高い機能を兼ね備えている機体を選ぶようにしましょう。

最後に、ドローンを操縦するには航空法など様々な条件があるため、きちんと理解した上でドローンを活用するようにしましょう。